現役サラリーマンやそのOBの勉強会がNPO法人(特定非営利法人)に衣替えする動きが目立っている、任意団体からNPO法人にすることで、「自分のための勉強」から一歩進めてへ企業人として蓄えた知識や技能を地域や国際社会に還元するのが狙い。
構造的な不況をよそに、元気に活動するサラリーマンの輪が広がっている。東京、大阪など全国十都市でサラリーマンの勉強会を主宰する「知的生産の技術研究会」(略称知研、東京都府中市)は昨年八月、NPO法人になった。狙いは学校教育や生涯学習の支援を核にした社会貢献だ。
梅棹忠夫氏の「知的生産の技術」(岩波新書)に触発され、サラリーマンの知的武装のための会として発足して三十年。会員は団塊世代が主役で、本の出版など果実も少なくない。理事長の八木哲郎さんは「仲間うちの閉じた会ではなく、外へ向けて情報を発信して社会に入り込む。そうすれば、生きがいづくりや能力開発にも役立つ」と話す。
NPO法人になってから始めたのが、知的生産の技術の核となる「図解」技術の普及活動だ。図解は様々なテーマや論点を図に整理して伝える技術。企画、理解、伝達の能力を高める手法として注目されている。
第一人者の県立宮城大学教授の久垣啓一さんは、日本航空時代に知研の活動で図解の技術を磨いた。知研の顧問も務める久恒さんの元には、学校や企業、官庁から講演依頼が殺到、知研の会員も講師に加わり全国行脚している。久恒さんは「平凡な会社員が知的生産に目覚めたのは知研のおかげ。その技術を教育再生に役立てるのはやりがいがある。図解以外にも活動の幅を広げ、仲間を増やしたい」と話す。
テレビ会議システムを使い、岡山市駅前町にあるIT(情報技術)ビジネスの交流拠点「リットカフェ」と東京都内の会場を結んだ双方向セミナーが13日夜、開かれた。
異業種交流の勉強会グループ・知的生産の技術研究会岡山支部などが企画。リットカフェ内には、電話回線で接続されたテレビ 会議のスクリーンモニターを設置。東京の会場で中小企業の活性化をテーマに話す経済産業省の藤和彦・繊維課通商室長の姿がスムーズな画像と明りょうな音声で映し出された。
講演後は、同システムを介し、リツトカフェに集まった十二人の参加者が藤室長らと懇談した。
同岡山支部は毎月テーマを変え、専門家らを講師に迎えた勉強会を開いており「テレビ会議で地方同士のネットワークも広がる。 今後も機会があれば遠隔地を結んだ講演を計画したい」としている。